新人銀行員の苦悩

銀行で働く新人サラリーマン。仕事のこと、日々のことについて書ける範囲で書いていきたいと思っています。

『何者』に抉られた人へ

浅井リョウ原作の「就活」と「SNS」を題材とした人間群像劇。原作を読んだ人も含め心を抉られた人も多いのでは無いでしょうか。私も昨年の就活中にこの本を購入、勝手に自滅していました。

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SNSに親しんだ今の若者世代にとっては共感できる部分が多いはず。特に私の世代(平成5年生まれ)あたりは、就活時期も原作の舞台と近いため、あるあるどころの騒ぎではなかったのではないでしょうか。主要人物も程度の差こそあるにしろ、周りにこういうやついるなあと思える人ばかり。

【以下感想ネタバレあり】

この作品の怖いところは鑑賞者(読者)と最も目線の近い拓人(佐藤健)が、どん底に突き落とされるところですね。冷静に他人を分析し、私たちが日々感じていることを代弁してくれている拓人がボロクソに言われるシーンは共犯者である私たちにとって恐怖以外の何物でもなかったはず。きっとこれは知らず知らずのうちに「鑑賞者」になってしまっている私たちへの警鐘なんでしょう。

観察者・拓人と対をなしているのが烏丸ギンジ。彼は大学時代拓人と共に演劇をやっていましたが、大学を中退し自分の劇団を立ち上げます。彼の作るなかなか評価されませんが、彼はそれでも月に1本劇を作り続けています。彼のこの姿こそ私たちがあるべき姿ではないかというのが、この作品の示す一つの答えではないでしょうか。後半、瑞月(有村架純)が隆良(岡田将生)に思いをぶちまけるシーンからも、ギンジの生き方が肯定されていることがわかります。結局、「何者」かになれるのはどんなに馬鹿にされても、不格好でも動き続けた人なんだと思います。「 踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損」。これは 徳島の阿波踊りの歌い出しですが、これに通じるものがこの映画にはあるのではないでしょうか。

最近、アナザーストーリー本として『何様』が発売しましたね。私も読み始めたばかりなので、まだ何も書けませんが興味のある方はこちらも読んでみてはいかがでしょうか。